海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。
マフラー専門店を出て。
「海くん。他にしてほしいことある?あるなら言って?」
わたしはそう彼に尋ねてみた。
「ないよ」
彼はマフラーの入った紙袋を片手に嬉しそうにそう答える。
「やっぱり、割に合わないっていうか...」
しつこいって思うかもしれないけど、わたしは迷惑なことは言ってないはず。
「......これ以上うれしいことなんて...」
「えっ?」
「...なんでもないよ。
北海道展してるみたいだから、そこに行こうか」
海くんはそう言ってエレベーターへと足を進めた。