海くんがわたしを好きだなんてそんなことあるわけない。


最上階で行われている、北海道グルメ展。


北海道の有名グルメ店が20店ほど出店されているのだ。


「折山さんは、行ったことあるの?」


「ううん、去年してたときは行ったけど、今回はまだ行ったことない。海くんは?」


「俺も今年はまだ行ってない」


ポン♪


そのとき軽快な音が鳴って、わたしたちがいる3階にエレベーターがやってきた。


エレベーターが開くと中には5名ほどいた。


全員最上階である8階に行くのであろう、ボタンはすでに8階だけが押されていた。


それからまたポン♪と軽快な音をたてて、4階と6階でエレベーターは止まった。


それぞれ5名ほど入ってきて、エレベーターはぎゅうぎゅうだ。


「っ...、折山さん、ごめんね」


わたしの背中はぴったり壁に引っ付いていて、目の前には海くんの胸元。


触れるか触れないかの距離にある。


...小さいわたしが押し潰されないように、腕で支えてくれてる...。

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