【完】キミさえいれば、なにもいらない。
一ノ瀬くんの手の甲をよくよく見ると、先ほど溝に手を突っ込んだ時、何かにぶつけてひっかいてしまったのか、傷ができている。
「あぁ、ほんとだ。いつの間に。まぁ、このくらい平気だよ」
彼はそんなふうに言うけれど、私はとてもじゃないけど放っておくなんてできない。
だって、今バレッタを探したせいでケガしたんだから。
「でも、血が出てきてるよ。手当てしなきゃ」
「いいよいいよ。気にすんなって」
遠慮するようにそう告げる一ノ瀬くんの体に、パラパラと雨が降り注ぐ。
いつのまにかさっきよりも、雨が少し強まってきたみたい。
「ダメだよっ。私、絆創膏持ってるから」
だから私はそう言って彼の腕を掴むと、手当てのため、どこか雨宿りできる場所へ連れていくことにした。
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*
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「あぁ、ほんとだ。いつの間に。まぁ、このくらい平気だよ」
彼はそんなふうに言うけれど、私はとてもじゃないけど放っておくなんてできない。
だって、今バレッタを探したせいでケガしたんだから。
「でも、血が出てきてるよ。手当てしなきゃ」
「いいよいいよ。気にすんなって」
遠慮するようにそう告げる一ノ瀬くんの体に、パラパラと雨が降り注ぐ。
いつのまにかさっきよりも、雨が少し強まってきたみたい。
「ダメだよっ。私、絆創膏持ってるから」
だから私はそう言って彼の腕を掴むと、手当てのため、どこか雨宿りできる場所へ連れていくことにした。
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