【完】キミさえいれば、なにもいらない。
それは、本当にずるいセリフだった。


そんなので、納得できるわけがないのに。


私はべつに謝ってほしかったんじゃない。


彼の本当の気持ちが知りたかっただけなのに……。


『雪菜には、俺なんかよりもっといい奴がいるよ。だから、もっといい恋愛しろよ』


呆然と立ち尽くす私に、先輩はそれだけ言い残すと、教室を去っていった。


私はショックで何も言い返す言葉が出てこなくて。


ただただ、悲しくて、虚しかった。


自分は一体何だったんだろう。


私の初恋は、何だったんだろう。


恋愛感情とは違う……先輩はそう言ったけれど、私は最後まで、一人の女の子として見てもらえていなかったってことなのかな。


ずっと、妹でしかなかったのかな。


結局ただ、もてあそばれていただけだったのかな。


それとも私が勝手に勘違いして、うぬぼれて、期待しすぎただけだったのかな……。


わからない。


だけど、確かに言えるのは、私の初めての恋は終わってしまった、ということだった。


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