【完】キミさえいれば、なにもいらない。
『あぁ、あの清楚系の子でしょ。俺も気になる』


『彼女候補なんじゃなかったの?』


それは、明らかに私のことを話していて。


私は聞かずに引き返すこともできたけれど、やっぱり気になって、その場でコッソリ聞き耳を立ててしまった。


聞かれた陸斗先輩本人は、少し間をおいてから語り始める。


『……あぁ、まあな。でも、振っちゃったんだよね。あ、遥には絶対言うなよ』


『マジで~、いつの間に!俺はあっちが本命かと思ってたぜ。違ったのか』


『そうだよ。デートしたって言ってたじゃん』


『あー、うん。確かに可愛いけど、なんていうか、ちょっと真面目すぎるんだよね。読書が趣味、みたいな子だしさぁ』


陸斗先輩の口から飛び出した言葉に、衝撃を受ける私。


ウソ、なにそれ……。


私って、そんなふうに思われてたんだ。


『え、読書って、マジ?そんな真面目ちゃんなの?あの遥の妹なのに?』


『うん。一回デートしてみて思ったんだけど、やっぱり付き合うのはないなって。俺はもっと甘えてくれるタイプが好きだからさ』


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