【完】キミさえいれば、なにもいらない。
そんなことを思いながら、靴を履き替え昇降口を出る。


そのまま校門に向かって歩いていたら、突然どこからか大きな怒鳴り声が聞こえてきて。


「お前だな!M高のイチノセって奴は!」


自分の名前を呼ばれたのかと思い、ビクッとして振り向いたら、そこにはなんと、あの人気者の一ノ瀬彼方くんの姿があった。


一緒にいたのは、近くの工業高校の制服を着たガタイのいい男子。


よく見ると彼はどうやら、その男子に絡まれているみたい。


やだ、変なところ見ちゃったな……。


それにしても、どうして他校の男子がうちの学校に?


しかも、相手はかなりいかつくて、一言で言うとヤンキーって感じで、見るからにめちゃめちゃ怖そうなんだけど……。


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