冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「それでね、ジュディスさんって人に会ったの。とっても綺麗な人」

 ライラの声のトーンは変わらない。逆にスヴェンはわずかに顔を強張らせた。それにライラは気づかず続ける。

「スヴェンに伝えてほしいって言われたの。夜も寒くなるし、いつでも温めてあげるって」

 ここでスヴェンはようやく先ほどのルディガーの言わんとした内容が理解できた。ライラの反応次第だと告げてきたわけも。

 しかし、スヴェンには今のライラの考えも感情も読めない。動揺を顔には出さずに黙っているとライラはかぶっていたシーツをゆっくりと離した。

「だからね」

 細い肩のラインが現れたかと思えば、長い茶色の髪が隠す。合間から覗く白い肌にスヴェンが目を奪われているとライラの唇が動いた。

「今日は私が温めてあげる。とりあえずベッドに先に入って温めておいたの! よかったら使って」

 まさかの申し出にスヴェンは目を見開いて固まる。一方、ライラはどこか得意げだ。

「あのね、寒くなって冷たいベッドだとなかなか寝つけないだろうけど、アルコールに頼るのはよくないよ。体温が上がって眠気を感じても睡眠の質はよくないから」

 子どもに言い聞かせる口調で説明するが、スヴェンからの反応はない。今度はライラがスヴェンを窺う番になった。

 ややあってライラは自分の目を疑う。

「な、なんで笑うの!?」

 軽く噴き出し、口元を押さえたスヴェンの姿にライラは戸惑いが隠せない。この堅物な男が笑う姿など想像もできなかった。
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