冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
満面の笑みとは言えないが、表情は柔らかく目を細めてライラを見下ろしている。予想外すぎるスヴェンの態度にライラは逆に気恥ずかしくなった。

「あの、一応湯浴みして綺麗にしておいたんだけど……」

 フォローも意味不明だ。とにかくベッドを温めておこうと思い行動に移してはみたが、冷静になればスヴェンが人の使ったベッドに素直に入る性格とも思えない。ましてや自分の後だ。

 冷たく一蹴されないだけマシなのかもしれない。また余計なことをしてしまったと反省と後悔の気持ちがライラの胸に今更押し寄せる。

「ごめんなさい、私」

 急いでベッドから下りようとしたライラだが、不意に腕を取られた。スヴェンがベッドに膝をつき、ライラを正面から抱きしめたのだ。

「え?」

「温めてくれるんだろ」

 耳元で囁かれたかと思えば、ライラの体は勢いよくベッドに沈んだ。二人分の体重を受け、振動が直に伝わる。ライラはスヴェンの腕の中に閉じ込められたままだった。

「こっちの方が手っ取り早い」

 吐息を感じるほどの距離に、ライラはパニックを起こしそうになる。回された腕の逞しさも密着して伝わる体温もいつもよりもずっと近くて、すべてが心臓を痛めつける。

 呼吸困難に陥りそうだ。

「は、な、して」

 切れ切れに懇願し腕に力を入れてみるが、びくともしない。それどころか強く抱きしめ直され、低い声で返される。
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