冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「嫌だと言ったら?」

「なん、で?」

 わからない。この状況に頭も気持ちもついていけず、どうすればいいのか思考も働かない。

「お前が言い出したんだろ」

 けれど、スヴェンから返ってきた言葉にライラは少しだけ落ち着きを取り戻した。

「……スヴェンの温めるってこうすることだったの?」

 ライラの切り返しにスヴェンは言葉を詰まらせる。その間、ライラの頭には脳裏に焼きついた艶っぽいジュディスの姿が浮かんだ。

 なら、あの人とも……。

 冷たくて暗い感情が渦巻きそうになったそのとき、額に唇の感触があってライラは我に返った。反射的に身動ぎするとスヴェンのぶっきらぼうな声が耳に届く。

「夫婦だからこういうのもいいんじゃないか?」

 なぜだかその言い分にライラの心を覆いそうになっていた暗雲が消えていく。わずかに体の力を抜くと、スヴェンはぎこちなくライラの髪を撫で始めた。

「スヴェンは寒がりなの?」

「どうだろうな。その点、お前は子どもみたいに体温が高いな」

 今、体が熱いのは間違いなくスヴェンのせいなのだが、それは口にはしなかった。

 顔を上げると至近距離で視線が交わり、ライラはすぐさま再びスヴェンの胸に顔をうずめる。

「どうした?」

「……両目を見られるのは好きじゃない」

 スヴェンの問いかけに対し、ライラは弱々しく白状する。いつも髪で隠している金色の瞳も寝るときばかりは上手くいかない。
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