冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「左右で目の色が違うのって、やっぱり不気味だと思うし」

『いい、ライラ。目について言われたくないなら左目は髪で隠しておきなさい。聞かれたら病気で悪くしたって言うのよ』

 孤児院に来た頃、目を不思議がられたり、からかわれて落ち込むライラにシスターは強く言い聞かせた。

 見えるから言われるなら、隠せばいい。ずっとそうやってこの目と付き合ってきた。

「珍しくはあるが、不気味ではないだろ」

 そこで発せられたスヴェンのきっぱりとした物言いは、普段通りだった。

「この目のせいであれこれ言われて、フューリエンだの煩わしい思いしかないだろうが、それは周りが好き勝手言ってるだけだ。お前が悪いわけじゃない」

 スヴェンの声色には下手な慰めや励ましというものは感じられない。だからこそライラの心にすとんと落ちてくる。

 じわじわと頑なななにかが溶かされていく。

「スヴェンは……嫌じゃない?」

 消え入りそうな声で聞けばそっと頭を撫でられた。

「そうだな。だから俺とふたりでいるときくらいは気を張らなくていいぞ」

 おずおずとライラはスヴェンの胸から顔を離し、上目遣いにスヴェンを見る。それだけの動作にひどく慎重になる。

 スヴェンはライラの顔にかかる髪をそっと搔き上げてやった。すると異なる色の瞳が不安げに自分を捉える。

「本当に月みたいだな」

 王も例えていたのを思い出す。けれどなにげない感想にライラは眉を曇らせた。
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