冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「なんか機嫌いいな」

 剣の朝稽古を終え、ルディガーはスヴェンに声をかけた。

「気のせいだろ」

 ルディガーを見もせずスヴェンは短く返す。たしかに他人から見たらそうかもしれない。

 現に稽古をつけた部下たちには相変わらず厳しく、けれどアドバイスは的確だった。

 基本的に無愛想であまり感情を出さない親友の微妙な変化に気づけるのは自分を含め、ごく少数だろう。

「彼女、喜んでたか?」

「ああ。お前たちにも感謝していた」

 試しにライラの話題を振ってみたがスヴェンの回答は端的だ。ルディガーは続ける。

「なら、よかった。セシリアにとってもいい気分転換になったみたいだから」

 どうやらジュディスの件に関しては上手く対応したのか、そもそもライラが話にもしなかったのか。ルディガーもあえて口にはしなかった。

 共に愛馬の様子を見ようと馬房に向かう流れになる。そしてふたりは厩舎の前で見慣れた人物がいるのに気づいた。

 ライラが嬉しそうにエリオットと会話している。そばにはマーシャも控えていた。

 今日の彼女の服装は白を基調とした弛みのあるゆったりとしたワンピースに胴体部分には焦げ茶の布地が当てられたものだ。

 腰と胸元が編み上げられサイズを調整している。髪はマーシャが整えたらしく、耳下できっちりとふたつに束ねられ左目は丁寧に隠されている。
< 123 / 212 >

この作品をシェア

pagetop