冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「お前はまたなにを企んでいるんだ」

 日が落ちてスヴェンの部屋を訪れると、宣言通り彼は今日の職務を終え、中で待っていた。読んでいた本を閉じ、入ってきたライラに声をかける。

「企むって……そんな言い方しなくても」

 口をすぼめて返しつつ、ライラは部屋の主に断りを入れずソファに腰掛ける。本棚のそばの壁に立っているスヴェンと向き合う形になった。

「事実だろ」

 鋭い返事にライラは目を泳がせる。隠すほどの話でもないが、まだスヴェンには秘密にしておきたい気持ちもあった。

 とはいえ不信感を抱かせるのも本意じゃない。

「えっと、たいしたことじゃないんだけど……」

 歯切れ悪く答えるライラにスヴェンは軽くため息をついた。

「時期が来れば言うのか?」

 まさかの切り返しにライラは目をぱちくりとさせる。そして素直に頷いた。

「……うん」

「なら、いい。ただ俺は気が長くないからな、早くしろよ」

「はい」

 ライラの顔が自然と綻びる。スヴェンの対応が純粋に嬉しかった。

「ありがとう。私を信じてくれて」

 出会った頃なら考えられない。どういう形であれ、お互いに信頼関係が生まれているのをこういうときに感じられる。

「べつに。お前の言う通り、どうせたいした話でもないんだろ」

「あ、ひどい」

 口を尖らせたが、こんな軽口を叩きえるのさえライラの心を温かくする。そこで気になっていた件を思い出したライラは別の話題を振った。
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