冷徹騎士団長は新妻への独占欲を隠せない
「スヴェン、昨日は結局どうしたの? ちゃんと寝られた?」

 意表を突かれたスヴェンは、視線を逸らし気味にして誤魔化す。

「さぁな」

「教えてよ。邪魔だったなら私……」

「そうは言っていない」

 スヴェンの声は大きくなかったが、ライラの耳にはっきりと届いた。ライラはじっとスヴェンに視線を送り、頭の中であれこれ考え結論づける。

「スヴェンがかまわないなら、今日もベッドを温めておくね」

 ソファから腰を浮かし、ライラはベッドに近づく。

 前で留めているローブの紐をそっとほどいて夜着一枚になり中に身を沈めると、冷たいシーツに体温が奪われ体が震える。

 思わず顔を歪め、もぞもぞと身を縮めていたら視界が急に暗くなった。慌てて上を向けば、いつのまにかスヴェンが枕元に手をつき、至近距離でライラを見下ろしている。

「え?」

「ベッドじゃなくて俺を温めろよ」

 ライラは瞬きひとつできずに固まった。スヴェンの言葉が上手く掴めず、思考回路もストップする。

 ただ自分を真剣に見つめる整った男の顔だけを目に映していた。

 スヴェンはライラの額に軽く口づけると、自分もさっさとベッドに入り、硬直したままのライラを昨日同様に抱きしめた。

「俺がどうしたのか気になるなら、今日は先に寝ずに起きておくか、早起きしてみたらどうだ?」

 意地悪く耳元で囁かれ、ライラの頭はようやく動き出す。

「な、なにそれ。素直に教えてくれたらいいのに。今だって……」

「だから、素直に言ってやっただろ」

 もうライラは言葉が続けられない。無機質な感触から、急に温もりを伴った腕に包まれている。どちらも心臓に悪く、早鐘を打ちだすのが止められない。
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