臥薪嘗胆の主
「私…施設を作って、貴方に学校にも行かせられなかったから…せめて、友達だけでもって、思って…自分勝手よね…ダメな母親で、ごめんなさい…」
…あぁ、俺もまだ、子供だな…。
「いいよ、謝るのは俺の方だから。…ごめんね?ただ、気ィ引きたかっただけのガキで。」
今でもまだ、全てを理解できないガキだけど。
「ううん…貴方は謝ること、ないのよ…。楼くんも、本当にあの時は…ごめんなさい。許されないのはわかっているけれど、謝らせて…」
そう言って頭を下げる母さんに手を差し伸ばした楼は、もうとっくに俺を置いて大人になっていた。
「…あーあっ。俺も、早く大人になりてぇな…」
倉庫の隙間から見える、青空を見上げた。
「なってみる〜?」
気配もなく隣に座っていたのは…例の、夜さんって人。
いつもニコニコ笑ってて…いい人そうだなってのはわかるけど、怒ると怖そう。