たった7日間で恋人になる方法
『おい、何してんだッ』
突然かけられた怒りを含んだ声と同時に、肩に置かれた手が取り除かれ、それとほぼ同時に左手を取られて、強い力で引っ張られる。
『ッ!君は…』
『萌さん、こっち』
目を開くと、迎えに来てくれた拓真君が、自分の手を引き、おそらく乗ってきて開いたままだったエレベーターに、乗りこむ。
振り返ると、自身の右手首を抑え、唖然としている牧村さんがゆっくり閉まる扉の隙間に消えていった。
『悪い、オレ…僕が、戻ってくるのが遅かったせいで』
『…拓真君のせいじゃないよ』
『えっと…大丈夫?』
『うん…ちょっと怖かったけど…平気』
『良かった…あッ、ごめん』
拓真君は繋いだままだった手に気が付き、慌てて放すと、直ぐにここに立つようにと、操作パネルの前に誘導される。
猫背のはずの拓真君が、背筋を伸ばして立てば、窓からの景色は一切見えなくなり、ホッとすると同時に、少し小刻みに震えている自分の手をもう一方の手で握りしめた。
『何か…されてないよね?』
『え?』
『牧…いや、さっきの奴にさ』
『うん…少し高いとこ見せられたのと、ちょっと肩をね…』
言ってから、あまりに子供じみたことを言っていることに気が付き、恥ずかしくなる。
25にもなって、肩に触れられただけで怖かった…など、言えるはずも無い。
『ううん、大丈夫…大したことはされてないよ』
心配そうな拓真君に、ぎこちなく笑顔を見せる。