たった7日間で恋人になる方法


『…結構、量あるんだ』

唐突に真後ろから声がして振り向くと、いつ間にか、帰ったとばかり思っていた、拓真君が立っていた。

『拓…!!』

咄嗟に口元を抑え、周りを確認すると、室内は既に自分しか残っていない。

『大丈夫、残っているの、僕たちだけみたいだから』
『もう帰ったのかと思った』
『途中まではね…駅の改札口まで行って、メッセージに気が付いた…萌さん、これって、データの入力だけ?』

拓真君の視線は、私ではなく直接パソコンの画面に注がれていた。

『うん、作業事態は単純なんだけどね…』
『あ』
『え?』

拓真君の伸ばした手が、画面上の数字を指差す。

『ここ、数字違ってる』

真後ろに立っていた為に、思いのほか近くで声が聞こえて、ドキリとした。

画面を覗き込むように、少し前かがみになった拓真君のスーツが、私の後頭部にあたり、マウスを持つ手が固まってしまう。

『……』
『?…萌さん?…あ!ごめん』

慌てて離れる拓真君に、おそらく赤くなってしまっているだろう自分の顔を見られたくなくて、立ち上がる。

『えっと、私、ちょっと、飲み物、買ってくる、まだ時間かかりそうだから、拓真君は、先にお店行ってて』

なぜか、片言のように区切って早口に言うと、小銭の入ったパスケースを手に取り、逃げるように執務室を後にした。
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