たった7日間で恋人になる方法

廊下に出て階段を昇り、3階の執務室の隣に併設されている自販機コーナーに入ると、一旦壁にもたれ、トクトクと波打ってる、胸を押さえる。

…どうしちゃったの、私?

相手は、拓真君なのに、意識しすぎでしょ。

昨日、拓真君の手に触れてから、彼が異性だという認識が、急に高まってしまったのかもしれない。

あんな風にしたら、せっかく協力してくれている拓真君の方が、躊躇してしまうのに。

…リアルとバーチャルで、こうも違うなんて思わなかった。

もし現実の世界で、リアルな恋人ができたら、毎日こんな緊張の連続かもしれないと思うと、やっぱり自分には耐えられそうに無い。

ならば、その危険から逃れるためにも、残り3日間で、拓真君と完璧な恋人を演じるのが一番の逃げ道になる。

もう一度時計を見て、こんなところで立ち止まっている訳にはいかないと、再度気持ちを切り替えた。

その場で大きく深呼吸をして、目の前の自動販売機で、大好きなロイヤルミルクティーを購入。

すぐそばの小窓から望む、夕暮れの空を見上げながら、その甘い香りとミルクたっぷりの風味を堪能し、昂った気持ちをゆっくり落ち着かせた。
< 82 / 274 >

この作品をシェア

pagetop