みだらな天使
龍さん、優しそうな人だな。



…なんて思っているうちに、いつの間にかメイクが終わっていた。




「かわいい〜奏ちゃん!この奏ちゃんを前にした時の朔の表情、見たいわぁ〜!」




「ははは、さぞ見ものだな。」




…前言撤回。




やはり七海さんの選んだ人だけあって、ドS夫婦だった…。




しかし…





ドレスアップした自分の姿が見慣れなくて、小っ恥ずかしい。




「さ、時間ないから行こう!」




心の準備もできないまま、パーティー会場へ向かう。




変じゃ…ないかな。




この姿なら、朔の隣に立っていても釣り合うのかな。




まだあと半年も制服を着ないといけない私にとって…




朔の隣に立つのは、まだ早すぎる気がして。




「さ、行くよー奏ちゃん!」



慣れないハイヒールを鳴らしながら、豪華な会場に足を踏み入れる。




広いホール。



大勢の人々。




この中に、朔がいるんだ。



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