みだらな天使
「そういうことなら…ほら、七海行くぞ。」




「えっ?ちょっと待ってよ、龍!」




今まで静観していた龍さんが突然そう呟き、さっさと歩いて行ってしまった。




それに着いて走っていった七海さん。





「さ、朔…今日は元々、ここに泊まるつもりだったの?」




「違うよ?奏が家で待ってると思って、一刻も早く帰ろうと思ってたよ。だけどこうして奏が来てくれた。だからさっき、ここのスタッフにスイートルーム手配させといた。」




「そ、そう…スイートルームね……て、スイートルームっ!?」




さっきの耳打ちは、これだったのか!




それにしてもスイートルームって…生まれてこのかた、一度も泊まったことがない。





「行くぞ。」



「え、あ…ちょっと…」




腕を掴まれたまま、エレベーターに乗る。





エレベーターの上昇とともに、心臓のドキドキも高まる。





…よくよく見れば、朔もいつもと違う。




シルクのスーツを着こなし、髪型もいつもと違って前髪をかきあげてワックスで固めていて。





…カッコいい。





心の中で、素直にそう思った。



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