みだらな天使
言い終えて、そっと顔を上げる。




すると、朔が私をじっと見下ろしてきた。




視線と視線がぶつかる。




いつもなら、恥ずかしくて目を逸らしてしまう私なのに…




今日はその瞳に吸い寄せられるように、朔の首に腕を回していた。





「朔……好き…」




「え…」



無意識に呟いた言葉に朔が目を見開いた瞬間、自分が愛の告白をしていたことに気づいた。




「奏…」




自分でも驚いたけど、でも…もうこの想いは止められない。





「好き…だから、一人にしないで…?」




鼻と鼻が触れるくらいの距離で呟く。




すると、朔の私を抱きしめる力が強くなり…





「やっと俺にオチてくれた?」




そう言って、はにかんだ。





「もうずーっと前からオチてたよ…」




そう言った私にフッと笑った朔は…






「………んっ…」




私の唇が求めていたものをくれた。


< 63 / 147 >

この作品をシェア

pagetop