みだらな天使
お粥を作り終えて、再び朔の様子を見に行くと…




「ん…」




朔の瞼がピクッと動き、ゆっくりと目を覚ました。





「朔…大丈夫…?」




「奏…?あれ、家…?」




そう呟いて起き上がろうとした朔を制す。





「ダメだよ、朔。寝てなきゃ。熱あるんだから。」




「…七海と一緒にここまで運んでくれたの?」




朔も起き上がるほどの体力はなかったようで、素直に横になる。





「うん。七海さんが連絡くれて、学校の前で待っててくれて。」




「そっか。迷惑かけてごめんな。」




朔の言葉に首を横に振る。




迷惑なんかじゃない。




むしろ、嬉しい。




朔が私を助けてくれて、こんなにも幸せをもらっているのに…





私は未だに、何一つ返せていないのだから。


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