みだらな天使
「ごめんね…朝から体調悪かったのに、私…全然気付かなくて。」




ベッドの傍に腰を下ろしてそう呟くと、ベッドの縁に添えていた私の手に、朔の手が重なった。





「七海に聞いたよ。朝一番で“奏ちゃんからこんなメールが届いた!”って。」




そう言って、私の手の甲を優しく撫でる。





「奏に心配かけたくなくて、朝は何も言わずに家を出たけど…結局心配かけちゃったな。」




朝、朔が唇じゃなくてほっぺたにキスをした理由。




それは、私に風邪を移さないようにするためだったんだね。




「ね、朔。私いつも朔にいっぱい甘えちゃってるから、こんな時くらい、朔も私に甘えて…ね。」




半分は、私の願望だ。




いつも凛とした朔の姿ばかり見ているけど、こんな時くらい、頼ってほしい。




そんな想いを込めて、重ねられた朔の手を握り返した。


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