だから何ですか?Ⅱ【Memory】
まぁ、こいつはこういう奴なんだ。と、悲観は最早なく、小さく笑うだけでその応えを流していると。
「伊万里さんは今私といる」
「・・・・」
「それが十分な答えで、優先順位くらいは効かずとも明確ですから」
「・・・・」
「フフッ、恋愛不器用男な伊万里さんに二股なんて芸当は無理でしょうし」
「っ・・・お前、折角信頼感に感動したのに本音はそっちか?」
オイッと目を細め見上げた姿はクスリと悪戯に笑って髪の泡を流しにくる。
それに身を任し、水滴を避けて目蓋を下ろしていれば。
「それで?」
「ん?」
「恋愛不器用で二股出来そうにない伊万里さんの事ですから、私に追求されたいのではなくて、自分が言いたい出来事があったのでは?」
「・・・お前の透し眼鏡は半端ないな」
「ストーカー舐めたら恐いですよ?」
「そのストーカー志望を小田にされたって言ったら?」
「・・・全力で張り合いますよ」
「ハハッ、頼もしいな」
頼もしい切り返しだったが、さすがに一瞬驚いた顔してたぞ。
そんな一瞬を見逃さず、その一瞬に自分への執着を垣間見た気がして変に安堵する。