だから何ですか?Ⅱ【Memory】
だって、
「亜豆に似てて好きだって言った」
「・・・・誰に?」
「いや、だから小田に、」
「自分を好きだって言ってる女の子に?」
「うん、」
「彼女と似てるから好きなんて惚気た発言を?」
「いや、惚気たつもりはないんだが___っわぷっ、」
口答えするなとばかり?
言葉より早く浴びせられたのは浴槽のお湯で、見事に顔に直撃したそれを手の平で拭って亜豆を見下ろすと。
「最低ですね。はい、最低。もう、女の敵と言うのか、小田さん可哀想〜、伊万里さん最低〜」
「お前なぁ、」
「私だったら言われた瞬間に相手の目の前で自害します。少しでも自分の印象が残ればいいって愛情と憎悪全開に」
「真顔で恐いことを言うな」
何が恐いって、こいつなら本当にサラリ淡々と目の前でそれをしそうで。
容易に想像出来る血生臭い想像に笑えねぇと頭を抱えたタイミング。
「と、・・・色々言いましたが、あくまでもそれは同じ女子として感情移入といいますか」
「あっ?」
「ここからは、彼女としての言葉です」
そんな意識の切り替えを挙手しながら宣言してくる亜豆を、洗い終わった髪を濯ぎながら見下ろし片眉を上げた直後。
「んっ______」
「・・・____________」
ザバリッと豪快な水音が響き、自分にもそのしぶきがかかる。
それでも、肌に触れてきたのは水滴ばかりではなく、しぶきを起こす程の勢いで身を起こして俺の首に腕を絡め深々と口付けてきた亜豆の肌が密着する。