だから何ですか?Ⅱ【Memory】
はっ!?と、慌てて視線を逆戻しした時には亜豆の姿をしっかりと抱き締めている黒い存在。
でも、風に吹かれて靡くのは綺麗なプラチナブロンド。
ギュッとぬいぐるみの様に亜豆を抱きしめていた腕が緩まれば、心底驚愕に呆けた亜豆がようやく俺の視界に映りこむ。
どうやら亜豆もようやく相手の詳細を確認できたらしい現状。
驚愕に見開いていた目が更に丸く大きくなったと思う。
それに合わせるように亜豆を見下ろす姿は妖しくも愛おし気に口元の弧を強め。
「何で・・・ミケ・・んんっ____!!」
あっ・・・色めき立った悲鳴が耳に痛い、全身に痛い。
何より・・・視覚が一番のダメージかも。
亜豆が驚愕の極致を見せ口からようやく音を発した瞬間に、ニッと笑みを強めた姿が人目なんてまるで気にせずに会社の真ん前でキスをぶちかましたのだ。
そんな衝撃的展開に見事放心。
・・・な、筈もなく。
「っ・・ざけんな!!」
と、自分でも驚くほど怒気孕んだ低い声を漏らし、どう動いたかも記憶していない程早く亜豆の腕を掴んで自分の方へと引き戻していた。
トンと俺の胸にぶつかってきた亜豆はまだ驚愕に満ちたまま。
俺と言えば威嚇するように突如の存在に睨みを効かせるのに、その睨みを受けた姿は微塵の動揺も見せずに楽し気にクスッと笑って自分の唇を舐めてみせる。
亜豆とのキスの余韻を楽しむように。