だから何ですか?Ⅱ【Memory】
なんだこいつ。
なんなんだこいつ。
誰でもいい。
とにかく気にくわない。
俺のものに勝手に触るな。
「・・・あの・・痛・・」
「っ・・・あ、」
憤りの勢いと力加減のまま。
それを緩めるのを忘れていたらしく、痛いと遠慮がちに響かせた亜豆にハッと我に返ってやっと緩める。
『悪い』と亜豆に対しては小さく謝罪するも、その意識はまだ威嚇大に目の前の男に向いている。
一瞬は亜豆に、でもすぐに再び睨むように視線を戻せば、クスリと笑った男が自分を指さし。
「そんなに威嚇しないでよ。心配しなくても変質者じゃないよ?俺。・・・ねぇ?リオ」
ああ、またチクリ。
再び響いた『リオ』と親し気な呼び方に、眉を寄せ目を細めてギリッと歯を噛みしめる。
「気安く呼ぶな」
俺のものだと示して不機嫌にそう言い放てば、コテンと小首を傾げて疑問を示すくせに相変わらずその笑みは変貌しない男。
どこか負け知らずの笑みに感じて腹立たしい。
そう思ったのは間違いじゃないらしく。
「何で?そもそもあんたにそう言われる筋合いはないと思うんだけど?俺は昔からずっとリオをリオって呼んでたわけだし」
「っ・・・」
「呼び方を制限できるのはリオ本人だけだと思うけど?」
にっこりと微笑む姿は周りがざわめくほど美麗だというのに、もう俺は周りの感覚に同調して容姿に湧く心はないらしい。
今はただいきなり現れ自分の彼女に手を出した男。
だけども切り返してくる言葉はもっともな意見で、何を言い返してもこの件に関しては負ける気がする。