だから何ですか?Ⅱ【Memory】
大丈夫か?と内心では戸惑いつつ、それでも俺が対峙するよりはまともにこの男と会話が成されるだろうと判断して選手交代。
そうして前に出た亜豆に男が『待ってました』とばかりに綺麗な顔でにっこりと笑みを強めた。
「久しぶり、リオ」
「・・・何しに来たの?ミケ」
「ん~?何しにって・・・色々あるけど・・・、とりあえず、リオとセックスしに」
公衆の面前でよくもまぁ堂々と。
恥ずかしげもなくさらりと笑顔で『セックスしに来た』なんて宣言すれば、当然周りのお嬢さん方が声でも心でもキャーッと歓声をあげていて耳に障る。
それでも言われた当人である亜豆はシラーっと目を細めて溜め息を零す。
「その綺麗な顔と懐っこさで新しい拠り所見つければ?」
「冷たいなぁ。言ったでしょ?リオがいいの。リオとどんな気持ち良い事しようかなってワクワクしながら待ってたのに」
「何を今更、」
スッと亜豆の顔に伸びてきた綺麗で細くも男らしい手。
触んな!と言いだしそうな衝動に待ったをかけるように、亜豆がその手をスッと避けて接触拒否。
それでも、そんな反応さえ予想済みであったように、ショックを受けるどころか嬉しそうに目を細めて笑みを強めた男には苛立って仕方ない。
「フフッ、何?怒ってるの?リオ」
「怒ってない。ミケに怒るなんて無意味で無駄なことくらい知ってるし。それに、もう怒るなんて感情すら持ち合わせないくらいに終わってるの」
「何が?」
「私とミケ。別れて2年も経ってるのに今更、」
フンッと鼻までは鳴らさなかったけれど、軽く視線を逸らして非難の態度露わな口調と声音。
そんな亜豆の切り返しに俺としてはどこか安堵し自信を取り戻す一瞬であった。