だから何ですか?Ⅱ【Memory】
沈黙した自分の耳に周りのざわめきが鮮明に響くも煩わしいなんて感覚すら働かない。
多分、亜豆も俺と同じような感覚で、更には至近距離から問題発言した相手に見つめられているのだから意識は否応なしに目の前の存在だろう。
息苦しい。
いつの間にか息を止めてしまっていたらしく、それでもそのおかげで我に返ってようやく動揺に思考が働く。
えっと・・・、えっ?
今、確か・・・、
「俺達、別れてたっけ?リーオ?」
クッ・・・回想よりリアルにリプレイ。
あまりに沈黙し不動になった亜豆に、クスリと笑った男がもう一度とこちらには毒のありまくる問題提起を音にする。
それには、今度は起動スイッチを押されたかのようにようやく亜豆が僅かに顔の距離を離して。
「・・・・・待って、・・・えっ?だって、」
「フフッ、よく考えてよ。・・・いや、思いだして?」
「・・・・・」
「俺もリオも『別れよう』なんて決別の言葉言ってたっけ?」
「っ・・・・」
「『別れよう』なんて意思表示・・・してた?」
「っ・・・待って、だって・・・」
「言ってないし・・・言われてない」
そうでしょ?
そう問いかけるように首を傾げ、離れた顔の距離を再び同じほど寄せて。
『言われてない』と唇の割れ目をなぞる指先の動きは、亜豆を見つめる双眸は妖しく誘うようで心臓が嫌な跳ね方をする。