だから何ですか?Ⅱ【Memory】
響いたのは間違いなく自分の名前。
なのに『俺の事?』と間抜けにも困惑に満ちたまま不動になって、見つめてくる水色の双眸を見つめ返すしか出来ない。
何で?
そんな疑問の問いかけが音ではなく自分の中でだけ反響したはずなのに、それが恰も相手に通じたようにフフッと理解したような笑い声が返されて。
「六花化粧品の仕事・・・貰っちゃってごめんねぇ」
「っ・・・!?」
嫌でも覚えのある社名に見事金縛りが解けた瞬間だ。
【六花化粧品】と言えば今朝ほど逃してしまった大手の仕事。
手ごたえがあったにもかかわらずまさかのライバル社に持っていかれてしまった。
部長の言葉が頭に回想されて反響する。
『IS広告社の・・・ああ、三ケ月だ。
三ケ月 宙(みかづき せら)』
「っ・・・みか・・づき?」
半信半疑で発しつつも殆ど確信に近い。
人を指さすなんて失礼極まりない行為だと知っていつつも無意識に指さしてしまっていた。
そんな行為に特別不愉快さなど見せず、むしろにっこりと笑みを強めた姿が自分でも自分を指さし。
「ご察しの通り。こんな容姿だけどミケランジェロとかそんな名前じゃないんだよね~。三ケ月 宙。だから【ミケ】・・・OK?」
コレ・・・衝撃どころの話じゃない。