だから何ですか?Ⅱ【Memory】
さすがに暗がりに目も慣れた。
至近距離で見つめあげる亜豆のバツの悪そうで、それでいて不貞腐れて、それでいて苦笑いを薄っすら浮かべて。
そんな姿を捉えてしまえばこちらとて、
「あ〜〜・・もう。・・・何なんだよ・・お前」
完全に脱力だと抑揚のない声を響かせて、対峙する姿と類似した苦笑を見せてから顔を腕で覆いながら廊下に浮かせていた後頭部をつけ息を吐いた。
「・・・全部持ってくな、」
「・・・伊万里さん?」
「違うだろ。・・普通・・・全部俺が言うべき事ばっか、」
「・・・・」
「俺が、『なんだよあいつ!』とか『俺が彼氏だろ!』とか嫉妬に狂ってお前にあたる様な場面で」
「・・・・」
「実際・・・どうしてやろうかって。乱暴に強姦紛いに滅茶苦茶にしてやろうかって・・・思って・・なのに・・」
「・・・伊万里さん、」
「っ・・・あ~~・・本当・・俺、格好悪・・・。みっともなく嫉妬に狂う場面すらままならないでしてやられて」
「伊万里さん、」
「・・・・あいつみたいに余裕もなくて・・・イケメンじゃなくて悪いな」
不甲斐ないと言うのか、嫉妬すらまともにぶつけられずに不発に鎮静されて、冷静になってしまえば只々情けないと思って自分に嘲笑。
そんな瞬間に追い打ちをかけるように思いだすのはどこまでも余裕に満ちた笑みと言葉で存在感を見せた男。