だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「・・・・なぁ、」
「・・・ミケの事ですか?」
「っ・・・鋭いな」
「いえ、正直いつ聞いてくるんだろうと思っていたので遅いくらいです」
さらりとそんな言葉を落とした亜豆がスッと上半身を起こしてこちらに向き直る。
ルームライトの淡い逆光を受けての無防備な裸体や髪の乱れ具合は酷く扇情的で神秘的で。
綺麗だ。と素直に見惚れている間にも、長い髪を横に流してくるりとまとめる仕草にもドキリとする。
うっかり自分が切り出した会話も忘れかけた様な瞬間。
「・・・まさかミケに仕事を持っていかれてるとは思いませんでした」
「・・・・あっ・・ああ、まぁ、まさかだったな」
「今度からミケと仕事ぶつかる際は言ってください。PCにハッキングでもして作りかけのデザイン消してやります」
「いや、ぶつかるなら真っ当に競って勝つ方選ぶよ。卑怯な手で勝っても何の意味も達成感もねぇよ。・・・って、お前、ハッキングって。映画やドラマじゃあるまいし」
「・・・出来ますよ、ハッキング」
「・・・・マジで?」
「大マジに」
「・・・・・・お前、マジで何者だよ。真面目にハッキング出来るとか今軽く引いたんだけど」
てっきりその位の意気込み的比喩なのだと思って突っ込めば、さらりと真顔で『出来る』宣言してきた姿にはさすがに怯んだ。