だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「聞くのやめます?」
「いや・・・続けろ」
どうする?とばかりに至近距離で覗き込んできた双眸をまっすぐに見つめ返して、負けてたまるかと挑み返すように続行を促す。
そんな俺ににっこりと口の端を上げた亜豆が首元にすり寄りながら身を寄せて。
「・・・本当に・・・猫が遊んでと言うように懐いてきた始まりだったんです。最初は見て見ぬふり、それでもついてくる姿を振りきったり追い払った事も。・・・それなのに、懲りずにすり寄って喉を鳴らして、構って構ってと懐かれて、」
「・・・絆された?」
「まさにそれですね。ミケは・・・あんなですけど誠実で優しかったから。懐に入り込むのが上手で撫でて甘やかしてた筈がいつの間にか逆転してて」
「それは・・・好きになるよな」
「・・・・どうなんでしょう」
「はっ?」
好意を持つのは自然な流れ。
亜豆から弾かれる成行きは俺でも素直にそう思えた事なのに、亜豆本人の口から間をあけて返されたのは何とも言えない疑問交じりの響き。
どういう事だと視線を動かしても亜豆の視線が答えるように絡むこともなく、俺もどう切り返していいのか躊躇われた沈黙の間。