だから何ですか?Ⅱ【Memory】




「何の話だ?」


『昨日ちょっとね~』


「騙されねぇぞ。亜豆と会う約束なんてしてなかった癖に」



もう確認済みで、試すような言葉にあっさり引っかかったりはしない。


揺れる心もなく、堂々と立ち向かうように言葉を発して相手の出方を伺う時間。


そんな俺にどんな意味のそれなのか、クスリと笑い声を一つ落とすと、



『約束してたってのは嘘だったからねぇ。小田ちゃんせいかーいって感じ?』


「やっぱりな。亜豆が応じるわけ・・」


『でも、一緒に飲んだんだけどなぁ。・・・昨夜』


「嘘だ、」


『嘘じゃないよ~。あれぇ?リオから聞いてない?』



思わず舌打ちを零してしまう。


その音に自分で自分の余裕を打ち崩し始めた気がする。


試すような言葉はこいつの常套手段。


含みたっぷりに弾かれる言葉はそれらしくも嘘やはったりである筈だ。


だって、亜豆本人は否定していた。


会っていないと、誘いに乗る筈がないと。


俺は、その亜豆を信じればいいだけの事。



「いい加減な事ばかり言って掻きまわそうとしやがって」


『ええ~、俺何にも嘘ついてないよ?本当に飲んだのに。何でリオ言わないんだろう?』


「いい加減にっ__」


『相変わらず無防備なルームスタイルだよね、リオ』


「っ・・・」



はったりにも付き合いきれない。


そんな風に断ち切ろうと思ったタイミングを図ったかのよう。


弾かれた言葉に浮かぶのは、確かに無防備と言える亜豆のルームスタイル姿。


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