だから何ですか?Ⅱ【Memory】






やっぱり・・・恋愛に向いていないのかもしれない。


今までのモノも、亜豆との心地の良いと感じたモノでさえも。


むしろ・・・本気の愛情というモノの方が嚙み合わない時のもどかしさや葛藤が辛い。


ただ・・・好きなだけなのにな。


自分だけの特別で、自分だけが特別でありたいと思う事がこんなに難しい事だなんて。


やっぱり・・・俺と亜豆は片想いのままで、

ずっとそのままでいた方が良かったのかもしれない。


そんな結論が頭に落ちかけて、指先ではエレベーターのボタンを押しかけていた瞬間だ。


ヒールの音はこの狭い空間ではよく反響する。


カツカツカツンッと階段を一段飛ばして降りたような音が背後から響き、そのままの勢いで近づいてくる靴音。


それに振り返る気もなくエレベーターの扉を見つめ、『殴られるのかな』なんて、幾度か経験のある展開をぼんやりと思い浮かべていると。


伸びてきた手に腕を掴まれ、強引な力に振り向かされることに特に抵抗はしない。


一応歯は食いしばった方がいいんだろうか?と軽く歯をかみ合わせ、勢いに逆らわずに振り返らせられれば。



「っ_____?」



痛い。


さすがに予測していなかった衝撃には痛みが走って驚きに染まる。


いや、だって予想しないだろ。


振り返った瞬間にガチで飛びつかれて噛みつく様にキスされるとか。


想定外すぎて身構えてなんかいなかった体は勢いに耐え切れずに背後の壁に激突したし。


背中と後頭部が痛い・・・。




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