だから何ですか?Ⅱ【Memory】



そうか、そういう事か。


多分、最後の言葉すら彼なりの最後のチャンスで、



「俺はどうしても亜豆を取り戻したいっ、」


「・・・・」



立ち上がりかけていた姿がピタリと動きを止め、チラリとこちらに戻る鋭い視線。


ジッと俺を見つめる姿は獲物の大きさを見定める獣の様だ。


食うか食わざるか。


食うほどの価値があるのか。


でも、値踏みする眼差しに対してもう迷いはない。



「俺が、どうしても取り戻したいんです」


「・・・・」


「今この瞬間さえ俺の傍でなくあいつの傍にある事が許せない」


「・・・・」


「俺は俺のものを取り戻したい。亜豆を独占したい。・・・違う、亜豆を独占していいのは俺だけだ、」


「・・・・無能。答えが長い」



無能と詰ろうがそのまま去ろうとしない、逸れない視線で答えに大きく間違いがない事は分かる。


それでも座り直さない姿はまだ合格とみなしてはいない。


答えが長いね。


そうだな、確かに。


じゃあ、簡潔に、



「亜豆を探して取り戻したい。だから俺に協力してください」



【友人】として【亜豆の為に】動いてほしいのではなく、俺が亜豆を助けたいという事が何よりも重要。



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