だから何ですか?Ⅱ【Memory】






「ねぇ、何を考えてるの?リオ」



優しい問いかけと頬に触れてくる指先の感触と。


この声や触り方に不快感を持ったことは一度もない。


過去も今現在でさえも自分にはひたすらに甘く優しく、下手したら『もっと』と求めたくなる程心地の良い物。


シトラスの匂いが懐かしく香って鼻孔を擽る事さえ心地がいい。



「相変わらず綺麗な目だなって」


「リオは・・・本当に無自覚だね。もっと俺に危機感持ちなよ」


「ミケに?・・・何で?」


「俺はリオを誘拐してるんだよ?」



ごく自然な流れ。


気がつけばミケの手が私の胸を優しく押していて、その力に抗わずにやっと起こした体をポスンと静かにベッドに沈めた。


そんな私を見下ろす陰った姿は懐かしい。


自分の身体を跨がれ組み敷かれている現状なのに焦る心無くまっすぐに水色を見つめ抜いて、そんな私の頬を優しく撫でるミケの方が揺らす感情を持っていると思う。



「ここで一生飼ってあげる」


「・・・・・」


「そんな、狂気的な愛情を押しつけたらリオはどうする?」



凄艶な笑み。


それでも吐き落とした言葉の響きは確かに狂気の塊と言えるのだろう。


綺麗に笑って毒を吐く。


きっと普通であるなら半狂乱に泣き叫んで喚いて怯んで嫌悪して、相手に絶望でもする場面なのよね。



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