だから何ですか?Ⅱ【Memory】
喉が焼ける。
込み上げていた言葉が早くしろと急き立てて、その苦しさに眉尻を下げ細めた目には涙の膜が張る。
「っ・・・ミケが好きになってくれた自分でありたかった」
「っ___」
「ただ一人を純粋に思う、初恋にひたむきな自分でありたかった」
『ストイックだね、お嬢ちゃん』
ミケの興味を引いた私のままで。
惹かれてくれた在り方のままで。
恋の駆け引きなんて知らない。
ただ、そんな私を好きだと言った言葉を信じていたし、そうある事がミケが傍に居てくれるの事なのだと思い込んでいた。
そんな幼く、無知で、愚かであった自分を認めた。
そこに自分の初恋も穢したくないという狡さも混じって、ミケの好意を踏みにじったのは私だ。
「っ・・・好きでした、」
「っ・・・」
「ミケ・・・三ケ月さんの事が。三ケ月 宙の事が、向けてくれる愛情が、狡くて汚いって言ったやり方も、」
「リオ・・やめて、」
「優しくて、甘くて・・・どこまでも心地よくて。絆されて惹かれて染まってこれでもかって貪って、」
「っ・・・リオ」
「気がついていたことを認めればよかったの!打ち明ければよかったの、お互いに。・・・私が求めて好きだと縋っていたのはミケに被せた伊万里さんじゃないっ___」
「言うなって!」
全てを拒絶する。
そんな風に自分の顔に広げられ覆ってきた掌は大きい。
私にいつだって甘さばかりを与えてくれた心地の良い手。
今だって、拒絶の為に添えられているのに温かく優しく心地がいいと涙が零れる。