だから何ですか?Ⅱ【Memory】
少し忘れていた。
そう言えばインドアに見えるけれど案外運動性に長けている人だったと。
なんだっけ?
空手は段持ちでボクシングも齧ったと言っていたっけ?
そんな過去のセリフが頭に浮上し、過去の姿と今の姿を照らし合わせる。
姿は大人になったけれどやはり伊万里さんは伊万里さんのままだ。
そんな感傷にうっかり染まりかけていたけれど、クツリと力なく笑ったミケの声で我に返る。
そちらに視線を動かせば、脱力モードで後ろに手をついて伊万里さんに複雑な一笑を向けて。
「か~っこいい」
「・・・・」
「殴ってもらえたら逆にスッキリすんのにねぇ。やっぱり伊万里君も残酷決定~」
フフッと笑う声は漏らしても決していつもみたいな悪戯な感情は微塵も込められていない乾いたモノ。
それを伊万里さんも充分に感じ取っているんだろう。
ミケの言葉に感情を乱すことなく、それでも決して完全に憤りの熱が引いているわけではない。
された事は当然不愉快だと思っていて、本当であるなら殴りたいくらいに腹も立っているんだろう。
それを煽る様なミケの言葉に、この後どんな事態に展開していくのか緊張が走っているのは私だけなんだろうか?