だから何ですか?Ⅱ【Memory】
「惚れそ」
「フッ・・・大歓迎ですが?」
思わず零した感情に、小さく噴き出した亜豆が静かに煙草を俺の口へと戻し、そのまま首筋に吸いつき自分の跡を小さく刻んでゆっくり離れた。
「俺が言うのもなんだが、」
「何ですか?」
「怒りも怯えもしねぇお前に驚く」
「フッ・・フフッ、私はどこに怒って怯えるべきだったんですか?あんな強烈な愛情しかない時間に」
「・・・・」
「それに、怒ってたのは伊万里さんでしょう。まぁ、怒るの覚悟でミケに会いに行ったんですが・・・・そう言えば、ミケは?」
「帰った」
「そうですか」
「なんも聞かねぇのな」
「何を?」
「どういう展開でどういう締めくくりになったのか」
「・・・『締めくくった』と、決着がついたのならそれで充分です。少なくとも・・・私とミケのケリは伊万里さんが来る前についてましたから」
今更結果に付属する事細かな説明は不必要だと、まるで興味がないと示す様にその視線すら俺に絡んでくる事はない。
騒ぎを引き起こしたきっかけの張本人だというのに。
「コレだから・・・お前に怒っても消化不良になるんだよ」
チッと舌打ち響かせ眉根を寄せて、ポケットからダマスクの袋を取り出し亜豆に放る。