だから何ですか?Ⅱ【Memory】
一度転がってしまえば思っていた以上に溜まっていた疲労が解放された。
怠いとぐったりしている俺をお構いなしに絡んでくる亜豆は可愛いと思いつつも身体を起こす気力にはなかなかつながらず。
倒れ込んだまま堂々巡りな会話を続けていたけれど、不意に引っかかったワードでようやくスッと顔をあげた。
そんな俺を覗き込んできた亜豆がキョトンと小首を傾げてみせる。
「・・・お前のお友達が『よろしく』言ってた」
「『お友達』・・・雨月君ですか?」
「お前に友達は一人しかいねぇのかよ」
「はい、」
「即答かよ」
「昔はもっといた様な気がしてたんですけどね」
「気がしてた?」
「・・・・・・信用を持って、はっきりと友達だと言えるのは雨月君だけなんです」
ほんの一瞬だ。
どこか遠くを見つめる様な眼差しや表情に憂いが生じたのは。
何を・・・どこを見つめて振り返ってのそれなのか。
気軽に追及していいのかもわからぬそれには言葉を発しない代わりに腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。
それに逆らわず、ようやく現実に戻った姿に笑みを浮かべて、ストンと俺の横に倒れ込んでくる亜豆を更に抱き寄せた。