だから何ですか?Ⅱ【Memory】
それに引き止められる形で足を止めた彼女が俺に向かってその顔を上げてきたかと思うと苦笑いで息を吐いた。
「過度の充電はバッテリーそのものを弱めたりするって言いますけど・・・恋愛もそう思いません?」
「えっと・・・」
「手を繋がれて・・・イラッとしたんです」
「っ・・・悪い」
意図が明確でない言葉と苦笑いには疑問のまま見つめていたけれど、次に発されたのは考えずとも感情明確な言葉の響き。
『嫌だったのか!?』と瞬時に焦って絡めていた手を緩めたけれど、それを逃さないとばかりにキュッと握り返された事には再びの疑問。
言動行動が釣り合わない。
だってイラッとしたんだろ?と戸惑いの眼差しを向けた亜豆はさっきより更に複雑そうに笑って『あ~・・・』と抑揚のない声を響かせて、
「不快で。・・・じゃ、なくて。・・・物足りなくてです」
「・・・・」
「知らず知らず人って貪欲になってるものですね。少し前であるなら伊万里さんの姿に並んで煙草吸ってるだけで、これ以上ないってくらいに満たされて活力になってたのに」
「っ・・・」
言いながら、触れている事を確かめるように動く指の感触が誘惑的だと感じるのは俺の煩悩の都合のいい解釈?