だから何ですか?Ⅱ【Memory】
スルリスルリとささくれ一つない指が絡んでいる俺の手の甲や骨ばった所をなぞって擽って。
その触れ方が本当に絶妙すぎて、同時に聴覚を犯しにくる声音や言葉の羅列にもゾクリゾクリと熱が込み上げる。
そんな俺の複雑な心中の葛藤なんか知ってか知らずか、
「言葉を交わすのが当たり前になって、触れて触れられてが当たり前になって、キスでさえ頻繁でないと落ち着かなくなって・・・その上を更に知ってしまえば手を繋ぐだけじゃ物足りないとか・・・どうかしてる」
それは・・・まったく俺も同じ感覚なんだが。
だから、今この瞬間こそがもどかしくてもどかしくて焦ったくて。
この触り方はワザと?無自覚?
どちらの答えもあり得る亜豆だから判断に困る。
表情で判断しようにも穏やかに笑んでいる姿には『可愛い』と自分の感情が邪魔して遮ってくるからそんな自分にも困る。
でも、いつだって1番に困るのは煽っておきながらサラリと肩透かしを食らわしてくる亜豆にで。
今だって結果、
「でも・・・楽しいですね。バカップル満喫できて」
フフッと笑って発した言葉に期待したような扇情的誘惑が無いらしい。
まぁ、それすらも慣れつつある自分だと心で苦笑いしつつ、
「フッ・・・まぁな。自分はそうならないし、したくもないって思ってたんだけどな」
「バカップル出来るのなんて良くも悪くも新鮮さと寄り切ってない絶妙な距離感ある今だけなんですから。存分に楽しみましょう」
「なんか色々と複雑な言い方を」
「そうですか?」
「寄り切ってないって言われるとな」
「寄り切ってませんよ」
「いきなりバカップル熱下げる様な事真顔で宣言するな」
やっとその距離が詰まってきたんじゃないかと思っていた自分がいるからなんか切ないじゃないか。