だから何ですか?Ⅱ【Memory】
『おいっ』とおふざけ交じりな非難の突っ込みを入れつつ、心的には程々に深刻なダメージがあったり。
こいつ的には無表情に冷徹な意味合いが無いとわかっていても、こうも淡々サラリにまだ距離がある宣言は少し痛みを伴う気がする。
それを誤魔化すための非難顔で、舌打ちで、視線逃げで。
でも決して険悪な感じではなくワザとらしいもの。
それでもそこは亜豆さまと言うべきか、俺の誤魔化しなんてまったく通じないような透視眼鏡な大きな双眸が、探るようにジッと見つめてきているのは横目に分かる。
「そんな不満ですか?」
「面白くはない」
「じゃあ、伊万里さん私の事なんでも分かります?」
「・・・・」
「些細な事でもいいですよ。何が一番好きで何が一番嬉しくて何に一番興奮するのか」
「・・・・・っ・・あ~・・分からねぇよ、クソッ」
「フフッ、ほらね。だから寄り切ってないし、そう簡単に寄り切られちゃ困ります」
「あっ?」
不貞腐れている俺に追い打ち。
不満だというなら答えてみろと、子供の様な切り返しで問いかけられた些細な問題にも見事落第。
悔しまぎれに『クソッ』と響かせ頭を掻くと、そんな反応にクスリと満足そうに笑った亜豆までは想定内。
それでも、その姿から発せられた言葉の最後の部分は見事意識に引っ掛かり思わず意識も視線も戻してしまった。