だから何ですか?Ⅱ【Memory】
最初こそ、『やっぱり恥ずかしいのかよ』と思えどどうも噛み合わない亜豆の羞恥。
でも、ようやく理解した様に自分の体に向けて視線を落とし、更に再確認の様に亜豆に戻すと真っ赤な癖に俺の上半身ガン見。
待て、あくまでもまだ上しか裸じゃないぞ?
これまた驚く感じにウブさ全開できなすった。なんて呆れていいのかなんなのか。
それでも愛らしいと言える反応にはついつい意地悪な感情も発生するわけで。
おもむろにズボンのベルトに手をかければ、『ぎゃっ』と色気のない声で阻む様に俺の両手首に絡んできた亜豆の指先。
当然、持っていたボトルが床に落ち、ゴトンと大きな音を響かせた瞬間に失笑。
「ククッ、亜豆節わかんねぇ〜」
「・・はっ、・・なっ!?」
やっぱり亜豆の羞恥ポイントはよく分からねぇと、脱力したような笑みで一息。
わかんねぇな。
「別に男の裸なんて見て珍しくも恥ずかしいもねぇだろ。TVつけたらCMから番組から普通にお披露目されてんじゃねぇか」
アホか。と、茶化し、馬鹿にした様な呆れ顔で覗き込めば、ムッと不満露わに挑む様に目を細める亜豆と対峙。
「他の男の裸なんてむしろ微塵も意識しません、観る前からご馳走様のポイッです」
「・・・あっ?」
「本当に恋愛において・・いや、女性においては劣等生ですね。伊万里さんの裸だから羞恥も興奮もするって言うものでしょ。女子が推しのアイドルの裸にキャーキャー言うあれです」
「・・・・」
「しかも・・・昨夜、この体に引っ付いて抱きしめられてたんだな。とか思ったら余計にクるじゃないですか」
「・・・亜豆」
「はい、」
「とりあえず・・・襲えって事?」
もう、その結論だろ。
可愛いとか煽りとかすっ飛ばして、襲っての意にしか感じられない亜豆の言動には真顔で確認を入れていた程。
だって、何でこいつこんな俺馬鹿なわけ?
劣等生だと詰って馬鹿にする癖に惚れ込むことを止めずに自信をもってアピールしてくる。
コレ完全に欲情する場面だろ。と、キョトンと見上げてきていた姿に顔を寄せ始めると、すかさず阻みにきた亜豆の手の感触を唇に感じた。