幸せの種

「さあ、ここで降りて行ってらっしゃい。ちーちゃんなら大丈夫。頑張ってね」

「穂香先生、本当にありがとう。行ってきます」


車を降りて、穂香先生に手を振ってから校門へ向かった。

人ごみの中、私を呼ぶ声が聞こえたような気がして、辺りを見回してみる。


「千花!」


見間違うはずもない、大好きな人の姿。


「琉君! 来てくれたの?」

「うん。学校休みだから、図書館に行くって言って、出てきた」

「ふーん、琉君、嘘つきなんだ」

「嘘ついてまで会いに来たってのに、何だよ全く」

「あーごめんなさいごめんなさい。冗談だから。ありがとう」

「どういたしまして。それより、これを渡しに来たんだ」


琉君の手に、白い小さな封筒が握られていた。


「これ、何が入ってるの?」

「俺がまとめた試験直前に覚えておくことリスト。ちゃんと教科別になってるから、国語から順に見るようにな」

「うん、ありがとう!」

「そろそろ行った方がいい。落ち着いて、名前書き忘れんなよ!」

「大丈夫だって。それじゃあ、頑張ってくるね」

「おう。……信じてる」


私はもう一度琉君に手を振って、生徒玄関へ向かった。


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