幸せの種
自分の座席に座り、受験票と筆記用具を準備してから、琉君にもらった封筒を開けた。
中に入っていたのは、小さなノート。
私達が学園で使っている連絡帳と全く同じものだった。
表紙には、何も書かれていない。
一ページ目も、真っ白だった。
しばらく白いページが続いていて、不思議に思っていたところで、やっと見えた十五ページ目の「千花へ」という文字。
おそらく誰かに見られても、すぐには内容がわからないようにしようと……まだ使っていない連絡帳だとカモフラージュするための仕掛けなのだと思った。
『千花へ
周りの受験生を見て、びびってないか?
みんな頭良さそうで、幸せそうに見えるよな。
だけど、思い出してみて欲しい。
生きるか死ぬかっていう生活から、進学校を受験するまでの間、千花はこいつらには想像もできないような苦労をしてきた。
だから負けない。負けられない。
千花の幸運を祈ってる。まずは落ち着け』