幸せの種
翌日の面接試験でも、会場前で琉君が待っていてくれた。
背が高くて、受験生とは違い私服の琉君はちょっと目立っている。
昨日は会えたことが嬉しくて、全然気づいていなかった。
少しだけ照れくさいので、こっちこっちと誘導して、玄関脇にある人気の少ない空きスペースに移動した。
「千花、調子はどうだ?」
「絶好調! 今日もきっと大丈夫」
ピースサインをする私に、うなずく琉君。
それから。
「この高校を選んだ理由は何ですか?」
琉君がいきなり面接官になりきっている。
だから私もこう答える。
「将来の夢を実現するためです」
「では、あなたの将来の夢は何ですか?」
知ってるくせに。
すました顔で聞く琉君は余裕があって、ちょっとだけ悔しくなった。
「大学へ進学し、ちしま学園の先生として働きたいです。
自分と同じ立場だからこそわかる、傷ついた子どもの支援ができる先生になれたらと思っています。
それから……」
琉君の眼をしっかり見て、宣言する。
「お医者さんになった琉君と結婚して、幸せな家庭を作りたいです。では、そのために頑張ってきます!」
すました顔が一気に赤くなった琉君にもう一度ピースサインをしてから、私は玄関へ入っていった。