幸せの種


宣言通り、私は志望校に合格し、やっと高校生になれた。

念願だったスマホを持たせてもらうことで、琉君と連絡が取りやすくなった。


帰りのバス停で琉君に会えることも多くて、私は受験勉強を頑張って本当に良かったと思った。

医学部受験を控えた琉君は、高橋先生にほぼ毎日勉強を見てもらっているらしい。


「高橋先生って、実は凄いんだよな。K大学の院まで行って臨床心理士の資格を取って、今はよくテレビにも出ているS先生と一緒にトラウマ処理の研究をしているんだって。だからよく東京出張でいなくなるんだけどさ」

「知らなかった。娘を溺愛するパパとしか見えないけどね。三人目が生まれるらしいよ。穂香先生、つわりで大好きなザンギが食べられないって嘆いてた」

「え? それは俺も知らなかった。あとでおめでとうって言っておこう」

「うん。研究も大事だけれど、穂香先生を労わってあげてって伝えてね」



―—だって、高橋先生と穂香先生の家庭は、家族を知らない私達にとって、理想の家族像を見せてくれる唯一の夫婦だから。


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