幸せの種
「……このねこ、せんせいの?」
「そうです。この子の名前は『ミーシャ』なの。そして私の名前は『ほのか先生』です。呼んでみて?」
「ミーシャ」
すかさず穂香がティッシュカバーを手に取り、そのもふもふのしっぽを左右に動かしながら返事をした。
「にゃーん!」
――藤島さんじゃなくて、猫の名前を呼ぶのか、ちーちゃん。それにちゃんと付き合ってあげているあたり、藤島さんもなかなかいい子だよな。
「ちーちゃん」
穂香がミーシャを動かしながら、千花の名前を呼ぶと、千花も元気に返事をした。
「いいお返事ですね! えらいえらい」
ミーシャのしっぽで、涙の跡が残る千花のほっぺをそっと撫でている。
穂香も気付いているのだ。ここに来る前、千花が泣いていたことを。
「あはは、くすぐったいよ~、ほのかせんせい!」
「はーい! どう、先生もいいお返事できたでしょ?」
「うん! えらいえらい」
二人のやりとりを見ていて、陽平はそっと胸をなで下ろした。
きっと穂香なら、ちーちゃんに良い影響を与えてくれるだろう、と。