幸せの種


その日は朝から千花のカウンセリングが入っていた。

親元へ戻す前に千花の現状を知り、危険度が高いようであれば、学校や児童相談所と連携しながらケース会議を開かなくてはならない。


千花の気もちを安定させ、話しやすくするために、陽平は穂香に手伝ってもらってカウンセリング室の環境を整えた。

カウンセリングに入る前に、ある程度子どもの好きなものを用意しておく。

話のきっかけを作りつつ、カウンセリングへの抵抗感をなくすため。


小さい子には、あんこの入ったパン型ヒーローのおもちゃを。

未就学の男子の場合は戦隊ヒーローのおもちゃやポスターを掲示しておく。

そして、年齢が上がると興味関心にも個性が出るので、それぞれに合わせることを忘れない。


千花の場合は、それが猫グッズだった。


「ここでお茶でも飲みたい気分ですね。それにしても藤島さん、よくこんなに猫をいっぱい集めましたね」

「自分でもこんなにいっぱい集めていたなんて、びっくりです」


シンプルだったカウンセリング室が、まるで猫カフェのようなたたずまいになり、陽平と穂香は笑った。

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